平成が終わり、新しい「令和」がいよいよ始まりますね。
「令和」は初めて日本の古書「万葉集」から因まれたそうですが、万葉集と言えば和歌ですよね。
色々な和歌があるのですが、やはり女子が興味をそそられるのは「恋の歌」。
今回は、万葉の世界を背景に、おすすめの恋の歌を3つご紹介します。
あなたに会いたくて…「額田王」
万葉集に収められている和歌で、この人を外すことはできません。「額田王」です。
どのような人だったかを簡単にご紹介しますね。
「言われている」が多い事でお分かりのように、殆ど歴史的資料がないんです。
日本書紀の一文に「天皇(天武天皇のこと)、初め鏡王(かがみのおおきみ)の娘、額田王をめして、十市皇女(とをちのひめみこ)を生しませり。」とあるのみ。
それなのに、万葉集の代表する歌人に挙げられているんですよね。
恐らく、絶世の美女であったとか、最初天武天皇の妃であったけど、その後天智天皇(天武天皇の兄にあたります)に嫁した、と言うエピソードに事欠かないのが理由の一つかもしれません。
とは言うものの、残っている詠んだ歌も優れたものばかり。
有名なのは冒頭の句「茜さす…」で有名な、「前夫」天武天皇との相聞歌だと思いますが、ここでは割愛です。
私のおススメは万葉集4巻・488番目に収められている「額田王(ぬかたのおほきみ)の近江天皇(あふみすめらみこと)を思(しの)ひて作れる歌一首」と言う詞書があるこの歌です。
君待つとわが恋ひをればわが屋戸(やど)のすだれ動かし秋の風吹く
訳:あなたの事をを待って恋しく思っていたら、秋風が吹いて簾を動かしていました。あなたか来たのかと思ったのですが…
当時の結婚スタイルは「妻問婚」で、夫が妻のもとに「通う」上に、一夫多妻制。
旦那様は毎日そばにいるわけではないんです。
なので、会いたいな、と思って待っていても来ない…そんなことを考えていたら、秋風が簾を動かし、あなたが来たのか?とぬか喜びをしてしまう。
現代の恋愛にも似たようなものがありますよね。
絶世の美女、才女と言われた額田王が残した、何となく共感できる、可愛らしい歌だと思いませんか?
二度と会えない愛しい人へ…「大伯皇女」
万葉集で有名な人、となると、柿本人麻呂や山上憶良など、枚挙がないですが、名だたる有名人を尻目に、あえて私がおススメするのは「大伯皇女(おおくのひめみこ)」です。
「恋の歌」と言う括りには、もしかしたら賛否両論があるかもしれません。
でも敢えて、私は大伯皇女の句は「恋の歌」であったと考えています。
少しマイナーですが、彼女の残した歌は一度意味を知ると心の奥を抉られるというか、なんとも悲しく同情にも似た気持ちになります。
では、またどのような人だったかをご紹介しますね!

万葉集2巻・105・106番目に収められている、「大津皇子、竊(ひそか)に伊勢の神宮かむみやに下くだりて、上のぼり来る時に、大伯皇女(おほくのひめみこ)の作らす歌二首」という詞書がある2首を読むと、大伯皇女は二度と会えないことを分かっていたんだ…という事が読み取れます。
